和のこころ、いろいろ・・・和の趣を愛する方々にミニコラムをお贈りします。

2010年9月15日

言の葉

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私たちが普段なにげなく使っている日本語も、改めて見直してみると実に様々な特徴があり、日本語ならではの魅力に気付きます。今回は、その中から「季語」と「オノマトペ」について少しご紹介しましょう。

「季語」は、俳句において季節を思わせる言葉として使われていますが、四季の表情豊かな国に生まれた者として普段の生活にも取り入れてみたい趣深い言葉がたくさんあります。

たとえば「錦繍(きんしゅう)」。この言葉は山々が紅葉で多彩に色づいた風景を表す言葉ですが、花嫁衣装の艶やかな打ち掛けをも連想させる美しい言葉です。「秋麗」は、「あきうらら」と読み、よく晴れた気持ちのよい秋の日をイメージさせます。この季節に結婚式を上げられるお二人の気持ちも、この言葉のように晴れやかなのではないでしょうか。

オノマトペは擬音語、擬態語のことで普通の単語ではなかなか表せない様子や表情を表現する時に使われます。外国にもオノマトペが全くないわけではありませんが、その多様さ、繊細さにおいて日本語のオノマトペは群を抜いているといえるでしょう。

たとえば風の吹く様子を表すオノマトペもいろいろありますが、静かに風が吹く樣を表す言葉に「そよそよ」「さやさや」がありますが、「そよそよ」はどこか柔らかさを感じさせ春風を思わせるのに対し、「さやさや」は爽やかな秋風を思わせますね。「はんなり」という言葉もオノマトペの一種で「華なり」が変化したとも言われています。明るく華やかな様子を表すステキな言葉だといえるでしょう。

季語やオノマトペとは違いますが、植物の名前には風情ある別名があることをご存知でしょうか。秋の花の代表である菊には「契り草」という別名があります。契りとは単なる約束というよりも男女の結びつきを表す言葉で、他の花が終わってしまっても美しく咲く菊に末長い契りを託した趣がいいですね。

一頃「品格」という言葉がクローズアップされましたが、美しい言葉づかいも「品格」の一条件でしょう。TPOに合わせた言葉づかいや敬語も重要ですが、時には昔からたいせつに使われてきた言葉に目を向け、折りに触れて使ってみてはいかがでしょう。

カテゴリー: 未分類 admin 3:48 PM

2010年8月15日

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毎年8月4日は「箸の日」、ということで東京山王日枝神社、奈良下市町杉箸神社などで、「箸感謝祭」「箸供養」が行われています。それ以外にも箸にまつわる行事は全国各地に散見され、日本人と箸との長い歴史を感じさせてくれます。

日本以外にも、中国や朝鮮などアジア諸国には箸を使う国がありますが、主に箸と匙をセットにして使う場合が多く、箸だけで食事をするのは日本だけといってもいいでしょう。それだけに、箸の種類、使い方に関する決まりごとも数多くあります。いざという時に役に立つものをいくつかご紹介しておきましょう。

箸の取り上げ方のポイントは、まず右手で上から箸を持ち上げ、左手を箸の下に添えること。その後右手の位置を変えて使う形にしてから左手を離します。左手で持ち上げ右手に箸を渡すような取り上げ方はタブーです(右利きの場合)。また、「嫌い箸」といって箸使いのタブーもたくさんあります。

たとえば「移り箸」は、食事のお菜(おかず)ばかりを食べることで卑しいこととされています。お菜を一口食べた後はご飯を一口、とバランスよく食べるようにしましょう。

似たようなタブーに「重ね箸」があり、これは同じものばかり立て続けに食べることです。「ねぶり箸」は箸についたものを舐めとること、「涙箸」は箸の先から汁をたらすこと、「迷い箸」はどれを食べようか迷い、料理の上で箸をあちこと動かすことで、いずれも「嫌い箸」とされています。気の置けない仲間との食事ではついついやってしまいがちなことが多いですね。

箸は、2本で1組のため男女に喩えられ、昔から結婚式などで縁起のよい贈り物として選ばれてきました。日常的な道具ではありますが、箸の文化や箸にまつわる決まりごとを見直し、「美しいたしなみ」として身に付けられてはいかがでしょうか。

カテゴリー: 未分類 admin 12:01 AM

2010年8月2日

和歌

十二単

和歌は、漢詩に対する呼称で「やまとうた」とも呼ばれています。漢字ばかりが並ぶ漢詩と比較して、三十一文字をかな使いで表現する和歌は、いかにもやさしい印象ですね。定義はいろいろありますが、私たちが普通「和歌」として親しんできたものは、「五七五七七」からなる短歌で、これは後に連歌、俳諧を生み出していきます。

和歌を集めた歌集で最も古いものといえば、万葉集です。7世紀後半から8世紀後半頃に編集され、収められている歌は天皇や貴族から防人(さきもり)などの身分の人が詠んだ4500首以上といわれています。平安時代も中期になると中国文化の影響は少なくなり、仮名文字の発展とともに和歌は公的な文化として盛んになってきます。歌合わせが行われ、最初の勅撰和歌集(天皇の命によって編まれた和歌集)である古今和歌集が編まれました。

和歌集の内容はいくつかの「部」に分かれ、「春」「夏」「秋」「冬」など季節に関する部だけでなく、「賀」(人の長寿を願う歌)、「相聞(そうもん)」(互いに消息を伝えあう歌)、「離別」(別れを惜しむ歌)など、人を思う気持ちを歌った歌も数多く残されています。「相聞歌」は主に男女の間で交わされた歌で、古今和歌集からは「恋」の部に入れられ華やかに花開いていきます。みなさんよくご存知の百人一首にも恋の歌は数多く選ばれており、いくつかを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

しのぶれど色に出にけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで 平兼盛

電話やメールなど、通信手段が便利になったことは喜ぶべきことではあります。が、そのような手段がなかった昔に詠まれた和歌には、どこかせつなく純粋なものがこめられているような気持ちになります。三十一文字というたいへん短い文章であるがゆえ、歌にこめられた気持ちはより凝縮され、心に訴えかけてくるのではないでしょうか。
自然や人に対するきめ細かい感覚に満ちた和歌の世界・・・難しいと思わず気軽にひもといてみてください。きっとお気に入りの一首が見つかることと思います。

カテゴリー: 未分類 admin 12:40 PM
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